シリーズ 植物   連載第26回

メドハギ(筮萩)・・・マメ科ハギ属
*ハギは日本の秋の野山を彩る代表的植物で、「万葉集」には、142首が詠まれている。
二位のウメ(117首)を大きく引き離しダントツの一位である。
中国では鑑賞の対象にはならなかったそうだが、古代の日本人はこの花に親しみ、愛好したようで形見にも植えられたそうである。
*このハギ達(ヤマハギ・マルバハギ・キハギ等)に近隣の野や山で出会う季節を迎えようとしている。ビオトープの草地に群生する「メドハギ」は、植物学的にはこのハギ一族の“末っ子”的なハギである。
*古代、この茎を50本一組で占いに使ったのが語源らしい。筮(めどぎ)用の萩というわけである。竹(筮竹(ぜいちく))を使用するのは後代になってからだそうだ。
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p4-2.jpg旗弁の紫紋は昆虫に蜜のありかを教えるガイド(花のサイズは7mm位)

*やや乾燥気味の日当りのよい草地に、日本全国で見られるポピュラーな多年草である。初夏の頃に棒状の茎がニョキニョキと立ち上がって来て、1メートル前後迄伸びる。
*夏から秋、葉っぱの腋に2〜4個の小さな花を次々に咲かせる。白地基調で目立たないが、可愛いハギ顔である。

◆葉身・・・1枚の葉は3個の小葉からなる複葉(3出複葉)で、真ん中の葉(頂小葉)が長く大きい。

*マメ科を代表するタイプの花の顔―「蝶形花」―は、昆虫に花粉を運んで貰うのに適した構造へと進化した形である。
◆花のしくみ・・・花びら5枚の離弁花だが、位置により形やサイズが異なる。
 ①旗弁・・・最も大きく目立ち昆虫を誘う(1枚)
 ②翼弁・・・昆虫の足がかりとなり、③に連動する(2枚)
 ③舟弁(竜骨弁)・・・めしべ・おしべを囲い、保護と花粉の受授に好都合なしくみをもつ(2枚) 
 ※おしべは10本で、サヤ型のめしべ1本を囲む。(9本が基部で筒状に合体―1本は離れて蜜腺への入口スリットを作っている。ほとんどの種はこの2体おしべ体制をとるが、都合で10本合体やバラバラもある。)

*根粒菌との共生とこの蝶形花冠への進化でマメ科は全世界19.500種にものぼる多様な種を持つ科となっている。

*この蝶形花冠の「メドハギ」だが、実は、もう一つの隠れ技を持っている。蕾状の空間で、花を開かず自花受粉をする。「閉鎖花」というこのシステムは、昆虫の力を借りられない時の保険のようなものである。この閉鎖花の有無がメドハギの仲間とヤマハギの仲間を分ける区別点となっている。(左の写真はヤマハギの仲間)
*花の割にたくさんの実がつくが、閉鎖花の実は丸いコイン型でびっしり。開花の実は、コロンとした卵型をしている。

*ビオトープには食糧豆類の誕生にかかわった先祖群が他にも種々見られますが、メドハギは同じ所に生えている帰化植物の「アレチヌスビトハギ」と共に遺伝子系統的には、エンドウ族に近いのだそうです。

写真・文 福島 倫子


p4-3.jpg 閉鎖花の果実
p4-4.jpg 開花の果実
p4-5.jpg (マルバハギ)・・「県民の森」9月

P/S 今回号より表題をシリーズ植物に変更しました
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