シリーズ植物 No 33 ハンノキ
シリーズ植物 No 32 サイカチ
シリーズ植物 No 31 ネムノキ・カラスウリ
シリーズ植物 No 30 ヤマコウバシ・クヌギ・センダン
シリーズ植物 No 29 ガガイモ
シリーズ植物 No 28 タンポポ
シリーズ植物 No 27 七草がゆ 
シリーズ植物 No 26 メドハギ 
シリーズの表題を野草から植物に変更

シリーズ野草 No 25 ビオトープの3大桜 ヤマザクラ・オオシマザクラ・イヌザクラ 
シリーズ野草 No 24 ブタクサ オオブタクサ セイタカアワダチソウ
シリーズ野草 No 23 タケニグサ  ヤブラン
シリーズ野草 No 22 イヌガラシ アケビ
シリーズ野草 No 21 ハンノキ オニグルミ
シリーズ野草 No 20 イヌホウズキ ノアザミ
シリーズ野草 No 19 カントウタンポポ ムラサキケマン
シリーズ野草 No 18 キクイモ・サワトウガラシ
シリーズ野草 No 17  センニンソウ サクラタデ
シリーズ野草 No 16  ニワセキショウ・ヘビイチゴ
シリーズ野草 No 15  コスミレ・フキ
シリーズ野草 No 14  ミコシガヤ・キツネノマゴ
シリーズ野草 No 13  ウシハコベ・カラスビシャク
シリーズ野草 No 12  ハキダメギク・ススキ
シリーズ野草 No 11  カラスウリ・ガガイモ
シリーズ野草 No 10  アメリカヤマゴボウ・クサノオウ
シリーズ野草 No 9  ノジスミレ・ヘクソカズラ
シリーズ野草 No 8  ビロードモウズイカ・カワラナデシコ
シリーズ野草 No 7  ムラサキマムシグサ・ムラサキツメクサ
シリーズ野草 No 6  シュンラン・チガヤ
シリーズ野草 No 5  キツネノカミソリ・ガマ
シリーズ野草 No 4  ヒメオドリコソウ・ホトケノザ
シリーズ野草 No 3  アキノエノコログサ・ヒガンバナ
シリーズ野草 No 2  ノカンゾウ・ヤブカンゾウ
シリーズ野草 No 1  カラスノエンドウ・スズメノエンドウ・ハルジョン・ヒメジョン
シリーズ植物     連載第33回

〜ビオトープの「春一番」〜❖ハンノキ❖

*2月中旬、青空を紅く染め河畔の春一番が咲く。
  枝先のしっぽ状の穂(石井運動公園の大木)は雄花の集まり。その下方の枝に、雌花が団子状に密集して咲く。
*風媒花で萼も花びらもなく、地味ではあるが苞葉の間から突き出る角状のめしべの先は 紅紫色で、大変美しい。
*12月には、小型松かさ状に成長した果穂から翼のある果実が風に乗って旅立っていく。
🔵 実を散布した果鱗は枝に残り、2月の花の果に加えて、7月には翌年の花芽が枝先に姿を現す。
 子々孫々―3代同居の“めでたい木”である。
ハンノキハンノキ-2ハンノキ-3
ハンノキ


《ハンノキの仲間・・・カバノキ科の果実いろいろ》

シラカバシラカバ
イヌシデイヌシデ
クマシデクマシデ
ツノハシバミツノハシバミ

形は変わっているが、みんな花の枝の複数の葉(苞葉)が一体化して果実を包むしくみは同じである。 ハンノキは3種の葉が重なり、最も木質化する。


石井公園の大木
石井公園の大木

♦開墾の木・・・「墾(はり)の木」
*河畔植生を一掃する規模の大洪水の後、最初に成立するのがハンノキ林だと言われる。
*しかし、現存の種は、その原始林の子孫ではない。
ハンノキは根が根粒菌の一種と共生し、水湿に強い為、水田耕作の「肥料木」として推奨されて来た歴史をもつ。 秋には天日干しの「稲架木」としても役立った。
*水田帯を後背にもつ、越辺川より下流部に残るのは その歴史的利用の子孫樹だと言われている。
♦県の蝶「ミドリシジミ」の食草でもある。
シリーズ植物     連載第31回

音符1ビオトープの“花は夜開音符2


❖ネムノキ (マメ科)
ねむの木
★蜜を出す頂生花は筒部が長い。
ねむの木2

*初夏の夕暮れ時に、香り高く咲き始める。
だから、花の鑑賞は夕方か早朝に限る。

*10数個の花が頭状に集まり咲いている。
  まるで化粧筆の様な、白・桃色に染め分けた絹糸の束は花びら
  ではなく、「おしべ」である。
*萼や花冠は緑色で小さく目立たない。
*夜、香りに誘われ訪花する「スズメガ」の仲間は突き出るめしべに
  花粉を付け、蜜を求めて、「おとり花」の花粉にまみれる。
  蜜を出すのは1〜2個の頂生花だけだからである。
*花とは逆に、羽状複葉の小葉は夜閉じる。
小葉の表側が合わさる姿から「合歓の木」。
  中国では夫婦円満のシンボルだそうで、不機嫌な夫の酒に花を入れて飲ませると機嫌が直るという伝説があるとか。
試してみてはいかが?

❖メマツヨイグサ(アカバナ科)
メマツヨイグサ
メマツヨイグサ2


❖カラスウリ (ウリ科) ・・・雄花と雌花がある。写真は雌花
カラスウリ


🔵初夏から夏に夜咲く花は、➀闇夜に浮き立つ白や淡黄色 ➁高い香り ➂長い筒を持ち、
 底に蜜を隠す。信頼できる花粉の運び屋は、「スズメガ」の仲間達である。
 ➀高い飛翔能力 ➁長い口吻 ➂ホバリング能力 の優れた資質で受粉に貢献している。 


オオスカシバ
※夕方、ネムノキをよく訪れる「オオスカシバ」―口吻が長い。
※夜行性の蛾の吸蜜写真は難しいが、昼行性の蛾でもタイプの花の形は
 分かる。一般に筒部が長く、筒の長さは相手の蛾の口吻サイズに適応し
 種ごとに特化しているようである。
シリーズ植物     連載第30回
◆ビオトープの受験の神様 “落ちない君”◆
受験の季節-「合格・勝つ」にかこつけた商戦もそろそろたけなわとなる頃である。
「植生」部門からも、機に乗じて、雑木林の三大「落ちない君」を紹介しよう。

ヤマコウバシ
ヤマコウバシ (クスノキ科)
*高麗川河畔や城山などの落葉樹林帯で、冬に存在感抜群の木である。
*春に新葉が出るまで、枯葉色の葉を落とさない。 
遠くからでも一目瞭然!樹種がわかる。
*クスノキ科のクロモジの仲間で「山で香ばしい」が名前の由来。
*早春に黄色い花が枝いっぱいに咲く。
*日本には雌株しかいないが、雌だけで種子を作り繁殖している。

クヌギ
クヌギ (ブナ科)
*カシワ・コナラと並び、落ちにくい。が”落ちない“わけではない。若いほど葉を落とさない傾向にある。
*アラカシやシラカシは同属の仲間。熱帯域の祖先型―常緑性が落葉システムに影響を遺しているのではという意見もあるが真相は未解明である。
*今度の秋にドングリになる1年生の小さな“粒栗”が枝先についている。  (クヌギは実るまで18ヶ月かかる)

センダン
センダン (センダン科)
*外国語の方がピッタリの名をもつ。
   ◇英語では 「ビーズツリー」。
   ◇中国語は 「金鈴子/きんれいし」。
*『せんだんは双葉より芳し』の「栴檀」は 熱帯のビャクダン科の香木で、本種ではない。“芳しくない”誤解が多い。
*実がなかなか“落ちない”君。 餌に事欠く厳冬期に、ヒヨドリ(だけ)が ついばみに来る。
*果皮に多い油脂成分は、ひびわれやあかぎれ等の軟膏に人も利用した。
◆「ガガイモ」◆ (キョウチクトウ科)

都市部では希少種になったが,夏の間中,河畔や道端フェンスを、
小さな淡紅色の花で飾り続けるガガイモは、日本全国、平地で最も普通でありながら、
ほぼ「無名」の雑草的ツル草である。
しかし、晩秋の観察会では大スター。ビオトープのレディ「ガガ」となる。
裂開する果皮から、長い毛を持つ200余りの種子が、雲の如くモコモコ沸き立ち、
天空に舞う。歓声が沸き、人も舞い上がる。
このガガイモの、普通でない花のしくみに触れてみよう。

1  ガガイモ・マジック 巧妙な花のしかけ
ガガイモ1
*5裂した合弁花冠
*中心の白いドーム状肉柱体
 ➡おしべとめしべの合体
*突出するポールは
柱頭ではない。

ガガイモ2
ガガイモ4

ガガイモ3
2つの子房は独立しているが、上部では合着する。
多くは1個だけ実になる。

★花に大小があり、大きい花は両性花だが、小さい方は花粉親(♂)の働きだけする。
①甘い香りと蜜に誘われて、やって来た昆虫は、口吻を蜜のある花の基部に差し込む。
②たてに伸びる溝の内側には、上向き刺毛がびっしり➡口吻は上に滑らせ抜くしかない。
③この時花粉塊がぶらさがるクリップが、昆虫のヒゲや毛を挟み花粉がセットで持出される。
  次の吸蜜時、昆虫から外れた花粉塊は溝の奥にある入口から柱頭への通路-部屋に入り、
花粉は発芽する。(右側写真の赤い➡は花粉の進入ルート。矢の先が柱頭)

2  神様は「ガガイモ」の舟に乗って
『古事記』によると大国主命の国造りの際,
大海原を「天の羅摩(ラマ)舟」に乗って
『少彦名神』(スクナビコナノカミ)が助っ人にやって来た。
「羅摩」とはガガイモの漢方薬名、大和言葉に翻訳すると「加々美」。
「カカ(ガ)ミ舟」➡「ガガイモ舟」となったらしい。「イモ」の由来は?だが、
果の形からかもしれない。

ガガイモ5
ガガイモ5" ラマの舟に乗った「神田明神」の彫像